自賠責保険に未加入の自動車による事故の場合,被害者は自賠責保険から損害賠償額の支払いを受けることができません。自賠法は,このような被害者を救済するため,政府保障事業という制度により損害の填補を図っています(自賠法71条以下)。
具体的には,保障事業を委託されている保険会社または共済組合の窓口に備え付けられている「自動車損害賠償保障事業への損害てん補請求書」に必要事項を記載し,自賠責保険に損害賠償額の請求をするときと同様の必要書類を添付してその保険会社に提出すれば,自賠責保険とほぼ同様の水準の救済を受けることができます。
このような政府による保障の対象になるのは,加害車両が自賠責保険に入っていなかった場合だけでなく,泥棒運転等のため保有者に自賠法3条の責任が生じない場合や,ひき逃げで犯人が不明なため自賠責保険から支払いを受けられない場合も含まれます(自賠法72条1項)。