最高裁は,原則として,親の愛人に対する子供からの慰謝料請求を否定しました。
その理由は,親が子に対し愛情を注ぎ,適切な監護・教育を行うことは,愛人がいようがいまいができることなので,父親に愛人ができたことと,父親が子に愛情を注がなくなり子が不利益を被ったことは,無関係である,という点にあります(法律上の言葉で,愛人の存在と子の不利益の間には,相当因果関係がない,と表現します)。
この判例によれば,愛人が子を傷つけようと企てて,親が子の世話をしようとしているのを積極的に妨害したというような事情でもない限り,子が親の愛人に慰謝料請求することはできないことになりますが,この判例には有力な反対意見が付されています(将来的には判例が変更される可能性もゼロではありません)。
なお,これは子からの慰謝料請求の問題ですが,配偶者からの愛人に対する慰謝料請求は認められます(具体的事情で慰謝料額は大きく異なります)。